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社長メッセージMessage

気候変動対策に見える世界の本気から学ぶ

~「未来」を変えるために「今」をどう過ごすのか~

   

今月(2021年10月)末には、気候変動対策を議論する国際会議(COP26:国連気候変動枠組み条約締結国会議)が英国で開催されます(10月31日~11月12日、グラスゴー)。

  

環境やSDGsを考える上で最重要課題ともいえる気候変動対策について、今まで以上に話題に挙がると思います。そのため、このテーマに関して思うところを書きたいと思います。

    

国際的には2015年にCOP21で「パリ協定」が採択され、16年に発効しました。
そこでは工業化前に比べて世界平均気温の上昇幅を2℃以内、極力「1.5℃以下」にすべく努力することが目標になっています。

   

そのため、各国は自主的に目標を掲げています。欧米主要国は2030年までに温室効果ガス(GHG)を最も排出した年から半減(40%~68%)することを、そして日本も46%削減(13年比)すると宣言しています。

    

この数字は従来の努力で実現できる水準ではなく、エネルギーの生産方法やそれを利用する社会の仕組みを根本から変える必要に迫られています。

    

しかし、それがすべての国で実現できたとしても30年のGHG排出量は10年比16%増加し、21世紀末までの気温上昇は「2.7℃」になってしまうと考えられています。

    

客観的にみると、気候変動対策は「崖っぷちに立っている」わけです。

   

それでも世界では若者が何百万人規模のデモで対策の実行を叫び、ドイツでは環境政策の優先を掲げる政党が選挙で躍進、グローバル企業が取引企業も巻き込んで対策を進めています。

    

ただ、こうした対策には「痛み」が伴います。最近では中国で石炭火力発電の削減政策が一因で電力不足に陥る地域があり、日本でも再生可能エネルギーの拡大が電気料金の上昇につながるなどの事象が発生しています。
企業の対策には「コスト」や「時間」がかかり、それが事業収益を圧迫するケースも少なくありません。

     

そのため、日本では「できることから始めよう」という気運が強く、火力発電の技術改良や小型炉を含む原発の利用も視野に入れたエネルギー対策が検討されています。
それが世界では「日本は気候変動対策に消極的」という評価につながっています。
一方、企業や家庭でも「ムダな電気を消す」や「省エネ家電の購入」といった「省エネ対策から始めよう」の議論がまだまだ主流です。

    

望まない「未来」を変えるために「現在」の痛みも受け入れようとする世界の本気から、私たちは学ぶことが必要だと感じています。
それは以下の3点です。

    

1)「これからの10年で社会の仕組みが大きく変わる」前提で現在を見直すこと
私たちが望む望まないに関わらず、世界は今後10年で激変します。
現在「環境負荷が大きい」とみられている活動に対して強烈な圧力がかかってきます。
そうなっても大丈夫な、むしろそれが追い風になるような準備を今から進めていくことが必須です。世界の変化スピードは恐ろしく速いです。
既存の仕組みが障害となって変化できずに衰退していく例は歴史で数え切れません。

    

2)「現在の困難や苦労を乗り越えるために未来を知る/考える」機会をつくること
今が厳しいときに「先を考える余裕はない」と思うのが本音ではありますが、それではしんどい思いで今を乗り切っても未来がありません。
エネルギーや資源の利用、ライフスタイルなど変化に伴う不便さや困難を乗り越えるのは、「一旦覚悟を決めたら」とことんやり抜くのは日本の十八番です。
そのためにも未来がどうなるのかを学び、考える機会をつくることが大切です。

    

3)「変化はチャンス」と捉えて、自らコトを起こしていくこと
長年「協調」や「場の空気」を大事にしてきた日本の気質(同調圧力?)は変化を起こすのにしばしばマイナスとなります。
しかし、仕事ではテレワークの浸透など働き方改革や業務の効率化が一気に進み、個人のワークスタイルや多様性が尊重される変化が日本でも実現しつつあります。
それは「自分らしく」、「新しいことへチャレンジ」する絶好のチャンスが来たともいえます。
外圧や誰かの指示を待つのではなく、自らコトを起こすことで「望む未来を迎えられ」、「仕事は楽しむ」ものに変わると信じています。

   

10月末のCOP26へ向けて世界が、そして私たちがどんな姿勢で臨み、どんな変化が起きるのか(起こすのか)、「『自分ごと』としてワクワクしながら」過ごしていきたいと思います。

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