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社長メッセージMessage

「日本発」循環型社会(3R)と「欧州発」サーキュラーエコノミー(CE)は違う?

〜目的と特徴を理解して、ハイブリッドを目指そう!〜

  

最近よく耳にするキーワードにサーキュラーエコノミー(CE:循環経済)があります。
これは、2015年にEUが発表した政策パッケージが発端となっています。

  

一方で、日本が2000年に法令を公布(翌年施行)して提唱した循環型社会という考え方があります。
そこでは、廃棄物を減らす(Reduce)、再利用する(Reuse)、資源等に再生して利用する(Recycle)が規定され、「3R」と称して国際展開も積極的に行われてきました。
(以下、循環型社会を「3R」と総称します)

  

つまり、日本では15年も前から「資源循環」という考え方が実践されており、CEが目指す政策との対比で理解しておかないと、「今までどおりでいいや」あるいは「時代遅れなりそう」という気持ちになってしまいます。

  

今回はこの対比で、これから私たちが「資源循環」にどう取り組めばいいのかを考えます。

  

1.3RとCEの特徴を対比して理解する

  

(1)両者の目的:「社会インフラの維持」と「持続可能性+経済成長」
2000年当時、日本では経済成長(既に90年代後半からバブル崩壊で下降気味でしたが)に伴って廃棄物の発生量が増加し、それを埋立処分する場所の確保が難しくなっていました。
また、ダイオキシンなどの大気汚染対策にごみ焼却炉の規制が強まり、小型炉の廃止も問題をより深刻化させていました。
こうした「廃棄物処理・処分施設の延命、維持」が喫緊の課題となっていた中で、2000年に制定されたのが循環型社会形成推進基本法でした。

  

一方、経済活動による地球環境への悪影響が人類社会の持続を不可能にすると問題視され、国連でSDGs(持続可能な開発目標)が採択された2015年に、EUでは2030年の未来へ向けた「経済成長と環境保全の両立(経済成長でも環境悪化させない)」のための政策方針としてEUによる行動計画(Closing the loop – An EU action plan for the Circular Economy)が発表されました。

  

(2)両者の思想:「廃棄物を無駄にしない」と「廃棄物を出さない」
3Rでは、最終処分の問題が根幹にあるので、流通プロセスの「使用」と「廃棄」を対象に、企業や生活者など「利用・消費者」が廃棄物を素材や形状ごとに分別して3Rを容易にすることで、焼却・埋立の減量を進めています。
また、「廃棄物を他社・他者が利用する」企業・個人間でのマッチングも盛んに行われていました。

  

CEでは、持続可能性と経済成長が課題なので、そもそも「資源を廃棄せず、使い続ける」という思想でした。
そのため、今の社会システムでは実現が難しく、流通プロセスの「材料調達」や「製品設計」から抜本的に見直すことが求められています。

  

(3)両者の期待効果:「ライフスタイル変容」と「経済システム全体の変容」
3Rでは、基本的に廃棄物処理の費用は使用者・消費者が負担する思想であり、「ポイ捨て」の利便性を多少犠牲にしても「分別して捨てるライフスタイル」を目指しています。

  

CEでは、資源循環の費用を生産者・供給側が負担する思想であり、ビジネスの形態(ビジネスモデル)自体を変容させる必要が生じます。
そこで、ものづくりの方法を根本から見直すとともに、シェアリングやサブスクリプション(売った代金ではなく、使った料金を徴収する)といった業態が多数誕生しています。

  

2.これからは「両方の特徴を活かして」資源循環に臨む

  

より現実的な社会課題に向き合い、ライフスタイルの変容によって「廃棄物を有効利用」しようとする3Rと、将来への持続可能性に向き合い、経済システム全体を変容して「廃棄物を出さない世界」を実現しようとするCE。

  

ゴールはCEがより理想的ではありますが、その実行段階には3Rの組み込みが不可欠です。実際に経済成長が続くアジア等の新興国では3Rによる資源循環が進んでいます。

  

多様な視点を受け入れ、柔軟で実効性のある方針と計画、そして行動が未来を創ります。

  

なんとなく、「3R=古い、CE=新しい」的な言われ方をして、これまでの取り組みや技術、枠組みを無駄にする必要はありません。
日本の良さを捨て、欧州の後追いをして創造的に考えることをやめる必要もありません。

  

いいとこ取りで、これまで先んじて取り組んできたことに誇りを持ち、未来へ向けて資源循環を実践していきたいですね。

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