ジームスアソシエイツ

社長メッセージMessage

ストーリーで語る価値に共感させる

~ものづくりで実現するSDGs~

    

 2021年3月3日付の日経新聞では「花王、化粧品の廃棄抑制へ 主力の新商品半減」という記事が掲載されていました。
 販売動向を生産計画に反映して売れ残りによる廃棄を減らし、新製品は季節限定品を抑えて定番品を充実させる結果、新商品の点数が半分、廃棄量を3分の1に抑えるとのこと。
 記事ではこれを「環境負荷を減らすESG(環境、社会、企業統治)重視の流れが一段と強まる」と評しています。

     

 上記の商品戦略は本来ものづくりの基本ともいえますが、従来は「流行を先読みし、多種多量に商品を投入してニーズを追いかける」のが化粧品やアパレルなど流行に敏感な商品のものづくりでした。
 それが変わってきたのは、「ESG重視」よりも「収益確保・競争対策」でやらざるを得ないというのが本音でしょう。
 既に化粧品では韓国や中国の商品が日本市場でも評価を高め、ネットショッピングでも簡単に購入できます。
 アパレルでは定番商品に機能性を高めた「流行に左右されにくい」ものづくりのファーストリテーリングが時価総額で一時アパレル世界一となりました(2021年2月16日)。

     

 しかし、そのやらざるを得ない「苦肉の策」が一方で「ESG重視で外部評価を得る」ことにつながるのです。まさに「社会や市場へどんなストーリーを語るのか」が会社や事業の将来性を左右するということですね。

     

 ただ、注意したいことがあります。
 「それが消費者や取引先など直接のステークホルダー(利害関係者)にとっての価値を生むのか」という視点です。
 定番商品に機能性を加え、低価格を実現する一方で、廃棄削減にとどまらずリサイクルにも取り組むファーストリテーリングのような「消費者や社会の価値を提供すること」がステークホルダーの共感を呼び、事業の持続的な発展につながっています。
 この点で、前述の花王の取り組みが記事からは「製造者側の論理にとどまっている」ように感じられることが気になります。単なる定番への絞り込みと廃棄削減では消費者には共感しづらいと思うからです。

    

 「ESG経営であればSDGs(持続可能な開発目標)の実現に貢献でき、社会の評価が得られる」のではなく、「一つ一つの取り組みが消費者や利害関係者にどんな価値を提供できるのか」のストーリーをていねいに語り、そこに共感が生まれることを「ものづくりの目指すSDGs」としたいですね。

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